世界の紛争はウクライナだけ?報道されない現在の深刻な紛争

紛争と聞くと、報道はウクライナばかりで、まるでウクライナ侵攻まで世界は平和だったかのような感覚をもってしまう人も多いのでは?

でも実は、武力紛争は世界中の数十ヶ所で常に繰り広げられています。

世界人口の6人に1人(12億人)が紛争に影響されている地域に暮らしていて、100人に1人(8千万人以上)は難民もしく国内避難民となっています。

また、紛争や気候変動などが主な原因で10人に1人(8億人以上)が現在食糧不足に陥っています。

想像を絶するような人道危機が多くの国で武力紛争によってもたらされているんです。

今回は、日本では報道されないウクライナ以外の紛争の実態を紹介したいと思います。

武力紛争による人道危機の概要

まず、人命に着目して、近年の紛争とその被害に関する傾向をみてみましょう。

政治的暴力などの統計をまとめている研究組織、ACLEDのデータによると、2017年から2021年の5年間で、80万人に近い命が戦闘によって失われました。

その半分以上はアフガニスタン(約19万人)、イエメン(約12万人)、シリア(約11万人)で発生しています。

同期間で1万人以上の死者数が発生している紛争はイラク、メキシコ、ナイジェリア、ソマリア、コンゴ民主共和国、ブラジル、ミャンマー、南スーダンなどで起きています。

2022年1月から3月までの3ヶ月間の紛争による死者数に関しては、ミャンマー(約4,800人)とイエメン(約4,300人)の紛争が目立って多いです。

ちなみに、今回のウクライナでの紛争の死者数はこれらの紛争の約半分(約2,300人)です(2022年3月31日)。

さらに、ACLEDのデータは、様々な報道機関や人権団体などの報告から多くのデータから抽出されているとはいえ、実際には、ACLEDのデータに反映されていない多くの死者が存在すると考えられます。

たとえば、サハラ以南アフリカなど、物理的にアクセスしにくい紛争地からのデータ漏れが多く発生している可能性があります。

また、ACLEDはあくまでも戦闘による死者数しかカウントしておらず、武力紛争から発生する飢えや病気で命を落とす人々はそのデータに反映されていません。

特に、食糧不足がもともと発生しやすく、かつ、人道支援が十分に行われていない低所得国では、このような間接死の事象が多くみられます。

コンゴ民主共和国や南スーダンなどサハラ以南アフリカの紛争では、間接死者数は直接死者数の9倍にも上ると推定されています。

コンゴ民主共和国では1998年から2007年の期間で間接死を含めると、紛争による死者が540万人に上るとされ、これは1950年代の朝鮮戦争以降の70年間で世界最多の人数となっています。

コンゴ民主共和国のこの紛争は現在も続いています。

紛争による人道被害は死者数だけでは計れません。

上記のように多くの人が紛争が原因で余儀なく住むところを奪われ、難民や国内避難民となっていて、中には食糧不足や飢餓で苦しむ人も大勢います。

たとえばコンゴ民主共和国では、2021年11月の時点で、紛争が原因で食糧不足に陥る人々の数は、人口の4分の1にあたる2,700万人にも上っています。

同じように飢餓の問題を抱えるイエメンでは、2022年3月の時点で、人口の半分以上あたる1,740万人が人道支援を必要としています。

特定の紛争への「人道的」注目

被害者に対する「人道支援」にも着目してみましょう。

人道支援などに割り当てる予算に限りのある中、政策決定過程において優先順位をつけ、支援先や支援額を決定しています。

しかし、現在日本の「人道的」な支援や発信などにみられる関心度をみれば、そうした支援や発信自体が、相手国の人道的なニーズに基づいて行われているものではないことは明らかです。

日本ではこれまで、イエメンやコンゴ民主共和国などでの大規模な人道危機に対して人道的な支援や発信といったアクションがほとんどみられなかった中、ウクライナのみに対する関心が突出しています。

日本政府による緊急支援(2022年分)を対象国別でみると、2022年3月の時点でウクライナに対する支援額は群を抜いています。

また、これまでにほとんどの難民に対して扉を閉ざしてきた政府が、突如として、ウクライナ難民だけを対象に積極的に受け入れる姿勢をとっています。

コラム

ウクライナ紛争、近年甚大な人道危機を抱えているコンゴ民主共和国、イエメン紛争、これらの3つの紛争には実は、類似点があります。

ウクライナ紛争の最新の段階は、2022年2月に隣国ロシアの突然の侵攻から始まりました。

同じように、コンゴ民主共和国の紛争は1998年8月に隣国ルワンダとウガンダの突然の侵攻から始まっています。

反政府勢力の兵士、コンゴ民主共和国(写真:Steve Evans / Flickr [CC BY-NC 2.0])

イエメンでも、2014年に中央政府が反政府勢力に倒されたものの、その数カ月後の2015年には隣国サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)が率いる連合による突然の空爆および侵攻を経験しています。

空爆された住宅地、イエメン(写真:Mr. Ibrahem / Wikimedia [CC BY-SA 4.0])

でも、報道には大きな隔たりがあるのが現状です。

ウクライナ侵攻で、戦争が始まったね、戦争いやだね・・という声を聞くと、とってもモヤモヤします。

いまに始まったことじゃないのに。。

ウクライナ以外でも、空爆で子供が死んで、難民になっても受け入れてもらえず、食料危機で多くの人が餓死している現状が伝わらないことが、もどかしいです。

国境や肌の色の違いにかかわらず、人間の生命は尊重される日はくるのでしょうか。

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