アボカドの裏側:メキシコのアボカド紛争

みなさんこんにちは、コクレポです。

みなさん、アボカドは好きですか?ちょっと前に一大ブームになったアボカドはインスタ映えするし健康や美肌にも効果があると世界で大人気になりました。

スーパーに並ぶアボカドはほとんどがメキシコ産ですが、実はアボカドが大人気となったせいで、麻薬組織が生産者たちを襲うようになり、治安が大きく悪化してしまったんです。

そして、昨日食べたアボカドの利益は、麻薬組織に流れているかもしれません。

今回は、私たちが食べているアボカドの生産地ではどんなことが起こっているのか。その実態を解説したいと思います。

ハス・アボカド (写真:sandid / Pixabay)

メキシコの麻薬組織たち

メキシコはコロンビアやペルーなどの南米の国々でつくられたコカインをアメリカへ密輸する中継地点になっています。

たくさんのメキシコの麻薬組織がこの密輸を行っていて、彼らは人身売買や強奪などの犯罪も行っています。

メキシコ国内で麻薬組織たちは、麻薬貿易のルートをめぐって争ったり、政府と麻薬組織の間でも戦いが発生していました。

そして2006年にフェリペ・カルデロ元大統領がこの状況を「犯罪」ではなく「戦争」であると捉えるようになり、麻薬組織に対して軍事的な対策をとり始めました。

それによって国内で2006年から2018年の間に約15万人もの人が犠牲になりました。

メキシコ国内のこの状況は「麻薬戦争」と呼ばれています。

メキシコ軍の特殊部隊 (写真:Ejército Argentino / Wikimedia Commons)

この当時、メキシコ国内では政府や軍隊が腐敗し、政府は国民からの信頼を失い、国を統治することができなくなってきました。

そんななか、麻薬組織は、麻薬貿易の地盤を固めるために、脅迫や賄賂を使って、地域の警察や政府をコントロールするようになり、麻薬組織が国に大きな影響を持つようになっていきました。

そして彼らはさらなる収入源を求め、地元産業に介入し始め、とても儲かるアボカド産業に目を付けるようになりました。

メキシコから輸出される約90%のアボカドは、ミチョアカン州で生産されていて、この州で特にアボカド産業に関わったのは「テンプル騎士団(Caballeros Templarios)」という麻薬組織です。

賄賂を使って、アボカド農家に関する情報を手に入れ、お金持ちの農家の家族たちを誘拐して身代金を用意させたり、アボカド農家や包装、貿易会社など、アボカド産業全般にわたり「税金」として資金を要求するようになりました。

メキシコのアボカド工場の様子 (写真:Pan American Health Organization PHAO / Flickr [CC BY-NC 2.0])

地域政府も麻薬組織と癒着していたため、地域住民が警察に助けを求めても殺されてしまう状態であり、誘拐されれば身代金を払うしかなく、大きな借金を抱える人たちも出てきました。

こうして年間1億5千万ドルを手に入れていきました。

また、税金を払えなければ殺害をし、ミチョアカン州で2006年から2015年の間に8,258人もの人が殺害され、大切な農地を捨て、逃げざるをえない住民も増えました。

立ち上がるアボカド警察

こんな状況に我慢できなくなった農家や住民たちが立ち上がり、麻薬組織に対抗するため、自衛を始める団体が現れるようになりました。ミチョアカン州タンシタロ市2013年、地域住民は、麻薬組織を追い出すために自警団を作り、当時大きな力を持っていたアボカド協会が、軍備を備え十分に訓練されたCUSEPT(タンシタロ公共安全集団)を作りました。

CUSEPTは防弾服を着て、ライフルや銃を常備して武装し、麻薬組織の侵入を防ぐために町の入り口などには頑丈な検問所を設け、防弾仕様のトラックでパトロールも行っていて、のちに国の公式な警察の協力も得ることができるようになりました。

こうしたCUSEPTなどの活動により麻薬組織の力が弱まり、タンシタロは脅迫や殺害も減少し、アボカド農家も搾取におびえることなく栽培を再開することができるようになりました。

アボカド問題の将来

タンシタロのように麻薬密輸集団を追い出すことに成功した町もありますが、麻薬組織は国内にたくさん存在していて、現在もアボカド産業が狙われている地域もあります。

実際、ミチョアカン州では「テンプル騎士団」は衰退しましたが、近隣の州からきた「新世代(Nueva Generacion)」という麻薬組織が力を増しています。

また、犯罪が減少した地域でも、地域警察が腐敗していることは変わりなく、タンシタロ市のアボカド警察も法による支配がないため、政治や社会システムの構築ができるわけではありません。アボカド警察はアボカド産業を守ることが目的であり、市民や町全体の安全や福祉のための組織ではないんです。

(写真:Pxhere)

それに、アボカドに関わる問題は麻薬組織に関るものだけではないんです。アボカドが大人気となったことで、生産のための農地開拓で森林破壊が進み、栽培に際して大量に水を使うことで水不足を引き起こしています。(アボカドの栽培にはオレンジの栽培に必要な水の約4倍の量が必要。)この水不足はメキシコ内だけでなく、チリなど周辺国にまで広がっています。

コラム

アボカドが大人気になっていた裏では、需要が高まることでアボカド産業全体により利益が増え、そのせいで麻薬組織に狙われるようになり、麻薬組織との争いから一般市民も犠牲になっていたんですね。

そして、アボカド産業を守っている自警団などの警備コストが増えたり、麻薬組織に「税金」としてさらにお金を払わないといけないことで、アボカドの値段が上がっています。

これを考えると、私たち消費者と遠いメキシコの問題も、お互いに影響を与えあっているといえます。

また、こうした麻薬組織は麻薬貿易が主な収入源となって活動しているので、世界の麻薬問題とも深く関わっているといえます。麻薬の消費者は欧米やアジアに存在していることを考えると、メキシコ国内の問題だけではないんです。

このように、遠く離れた1つの国で起こっている問題の背景には、いろんな国が関わっています。だから、世界の問題を知って、世界全体で対策を考える必要があると思います。みなさんの考えも、ぜひコメント欄で教えてくれるとうれしいです。

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