みなさんこんにちは、コクレポです。
みなさんチョコは好きですか?今回のテーマは、おいしくて幸せを満たしてくれるチョコレートの裏側です。
カカオ農家の現状
カカオ豆の生産は、1位のコートジボワールと2位のガーナは生産70%を占めています。では、この国のカカオ豆生産者さんは、どんな風に働いていて、1日平均いくらお金を稼ぐことができると思いますか?
たとえばみなさんが、真夏の炎天下、「朝6時に起きて農場に行って、大きい刃物を使ってカカオ豆をとってきてね。この刃物は鋭くて大きいからケガしちゃうこともあるけど、まあ気を付けて。そしてこの土地は農薬だらけだけど、防護服はないから普段着でいいよ。」という仕事があったら、いくらで引き受けますか?そんな危険な仕事、まずやりたくないですよね。
こんな仕事をしても、コートジボワールではたったの50セント(約50円)、ガーナでは84セント(約84円)しか貰えないんです。この水準は、「極度の貧困状態」(世界銀行が決めた、1日1.9ドル以下の収入)といわれています。しかもこんな危ない仕事を、たくさんの子供たちがしています。
ガーナとコートジボワールで5歳から17歳までのカカオ農園で働く子供たちの割合は、2020年までの過去10年間で、31%から45%に増加していて、この2か国だけでも150万人の子供たちが働いています。
子供たちは、収穫のために大きな鋭い刃物を使ってケガを負うことも多く、農薬が散布された土地で、防護服のないまま作業しています。農場での農薬の使用はこの5年間で20%も急増していて、カカオ農場で働くことは、みなさんが想像しているよりはるかに危険で、身体への悪影響が大きいんです。
さらに、家族から引き離されて農場に連れてこられ無理やり働かされる、人身売買や強制労働のケースもあります。
チョコレート会社の対応
世界のチョコレートの売上げの60%は、マース、フェレロ、モンデリーズ、明治、ネスレといった、みなさんおなじみの会社が占めています。生産地のこのような厳しい現実に、メーカーはちゃんと対応しているんでしょうか?
2001年に、この大手メーカーたちは、2005年までにカカオ畑の児童労働の根絶を目標とする協定に署名していましたが、その翌年、やっぱり70%の削減にしよう、と変更しました。それでも達成できず、毎度達成目標期限を引き延ばし、口先だけ、「私たちは児童労働を終わらせることが依然として最大の関心事だ。」と主張し続けています。
各メーカーこの口先だけの「対策」は堂々と発表していて、たとえば、明治のWebサイトをみると、「人権を尊重した適切な労働環境の確保(児童労働・強制労働の監視など)に努めていきます」といったあいまいな表現をウェブサイトで掲載して、「カカオ農家支援」や、SDGsに「貢献」していると主張しています。
そもそも、児童労働の撲滅を誓約してから20年近く経った今でも、チョコレート会社は、児童労働が生産に使用されたかという話以前に、カカオの農場を半分以下までしかさかのぼることができていません。
児童労働が行われているかどうかの検査は、年1回しかなく、事前に発表されているため、監査人が来る日だけ子供たちを隠しているケースも多い、という報告もあります。
そもそも、このカカオ豆の低すぎる価格設定が、カカオ畑農家の貧困や児童労働なでの問題の根底にあるので、チョコレート会社がカカオ豆を高く買って、商品の値段をあげるのがいちばん効果のある方法です。それがいわゆるフェアトレード商品と呼ばれているものですが、そのシェア・普及率はとっても少ないですよね。
チョコレート会社は、生産者への最低価格を保証するフェアトレード認証を避けたり、ごく一部の商品にしか適用しようとせず、そのシェアは伸び悩んでいます。
しかもフェアトレード認証いっても、そもそもフェアトレード認証の基準は甘いため、フェアトレード認証のカカオ豆を作りながら貧困のままでいる生産者もたくさんいるんです。
何を買ったらいい?
こんな状況を知ってしまったら、もうどのチョコレートを選んだらいいかわからないですよね。フェアトレードでいい商品だと思ってたのにそうじゃないかもしれないの?もうチョコレート食べれないの?アフリカの貧困に加担したくない。でもチョコレートは食べたい!っていう人もいると思います。
実は同じように考えて、自分でチョコレートブランドを作った人もいて、この人のエピソードが濃いので少し紹介しますね。
オランダ人ジャーナリストのTeun(トニー)さんは、カカオ生産の現場を取材して、チョコレート生産のひどい状況を知りました。でもどうしてもチョコレートを食べたくなり、買って食べてしまいました。そして「私はアフリカの奴隷労働で作られたチョコレートバーを食べてしまいました、私は犯罪者です。」と自主しにいってしまいました。
もちろん、トニーさんは不起訴処分になりましたが、大手チョコレート会社に解決を働きかけても思うように動いてもらえず、最終的に自分で100%奴隷労働のないチョコレートを作ろうと、「トニーズチョコロンリー」を創業しました。
「100%奴隷労働のないチョコレートを作る」という明確なビジョンがあって、今ではオランダのチョコレート市場の約20%を占める人気で、アメリカニューヨーク、イギリス、ドイツ、オーストリアにも支店があります。日本からは楽天から買えそうです。
スーパーで目にするものに慣れていたらびっくりするほど高いですが、農家さんに支払われるプレミアム価格も、フェアトレード認証の価格に30%~40%上乗せした金額で、農家さんがきちんと生活できるだけのお金が払われています。
本来の価格ってこうあるべきなんだ、とギャップに驚くかもしれません。日本語版のサイト:ホーム – Tony’s Chocolonelyもあったので気になる人は見てみてください。パッケージも可愛くて、広く普及させるための工夫が感じられます。
他にも、こんないい商品があるよ!と知ってる人はぜひコメント欄で教えてくれたらうれしいです。
コラム
チョコレートって私たちの生活にとっても身近なものですが、こんなにたくさんの問題があることをみなさん知っていましたか?チョコレートは世界の貧しい子どもが作っている、って、私が小学生の時から言われていたのに、まだ改善されていないってショックですよね。
そして、フェアトレードっていう言葉って勘違いされやすいと思っていて。なんかフェアトレードって聞くとまるで自分がいいことをしている気分になりませんか?貧しい人たちのために貢献している、国際貢献だ!って感じがありますよね。
でもフェアトレードの意味って、「公平、公正な貿易」。つまり、「不正、不当な貿易じゃない」ってことですよね。これって「貢献」なんでしょうか?あくまでも生産者に対する搾取をやめて、適正価格で商品を購入するっていう、当たり前のことですよね。その当たり前ができていないから、わざわざこの当たり前に名前をつけている状況なんですよね。
昔のauのCM「意識高すぎ高杉君」シリーズを覚えてる人いませんか?意識高すぎ高杉君が「これはフェアトレードですか?」と聞いて、女の子が「意識高すぎ・・・」と引いてる、みたいなCMが普通のテレビCMとして流れてて、ああ、やっぱりフェアトレードの認識も、アンフェアな貿易先での極度の貧困についても、日本では全然認識されていないんだな、と悲しくなったことを思い出しました。
今回は身近なチョコレートを取り上げてみましたが、貿易の不公平さについては、資源や他の食べ物なども含めて、幅広く共通している問題ですよね。これをきっかけに、いつもの買い物でも、世界の貧困についてちょっぴりでも思いをはせて、少しでも途上国の負担を減らせる商品はないかな、という視点をもってもらえたらうれしいです。