戦争ビジネスに社員が立ち上がる!

みなさんこんにちは、コクレポです。

社会人のみなさんが、このサイトでいろんな問題を知って、あれ?うちの会社これマズいんじゃない?って気づくことがあるかもしれません。

でもそんなとき、どうしたらいいんでしょう?

今回は、そんなときの参考に、世界中で、悪事に対して社員が立ち上がった例を紹介したいとおもいます。

File:Google Headquarters in Ireland Building Front Entrance.jpg
https://commons.wikimedia.org/wiki/Category:CC-BY-2.0

Google

グーグルはアメリカの国防総省と契約(2017年に開始された国防省のプロジェクト・メイビン(Project Maven)の一環)を結んで、人工知能(AI)の技術を提供していました。

でも、2018年3月にそれがアメリカ軍の映像解析・識別ソフトの開発に使われていることがわかりました。

その翌月、全体の3%に当たる3,000人以上の社員が「戦争ビジネスに参加すべきではない」とする抗議文書に署名し、12人のエンジニアが辞職したことを受けて、グーグルは国防総省との契約更新をしないことを発表したんです。

国防総省との契約が問題にされていた時期の2018年5月頃、なぜかグーグルは行動規範の中から「邪悪になるな」(Don’t be evil)を削除していました。

ミサイルを積んだドローン (写真:U.S. Air Force photo / Brian Ferguson)

企業として、このような反乱を起こす社員を解雇することは、手続上はかんたんです。

でも、優秀な技術者に対する需要がとっても高い中、IT企業は技術者の抗議を無視したり抑えたりすることがそうかんたんにはできない場合もあるんです。

また、社会で批判の多い問題については、ユーザーやクライアントからの反発や反感を受けることも予想されます。

AI技術をめぐり社内からの「反乱」に直面しているのはグーグルだけではありません。

Microsoft

米IT大手マイクロソフト(Microsoft)も2018年に社内で抗議を受け、アメリカ政府の部局との契約を取りやめることになりました。

マイクロソフトは当時、クラウドコンピューティングや画像識別・顔認識技術をアメリカの移民関税執行局(ICE)に提供していました。

当時、この部局は移民や難民としてメキシコから入国しようとする親子を引き離す政策をとっており、人権問題として多くの批判にさらされていました。

マイクロソフトの社員は自社がこのような政策に協力していたことに対して抗議をしたんです。

監視カメラ(写真:Kai Hendry/Flickr [ CC BY 2.0])

しかし、社員の抗議のすべてが良い結果をもたらすわけではありません。

Amazon

米アマゾン(Amazon)も同じような顔認識技術などをアメリカの警察に提供しています。

移民の親子引離し問題をはじめ、黒人活動家、難民の追跡にも自社の技術が使われていることに対して、複数の社員が2018年6月に抗議文書をCEOのジェフ・ベゾス氏宛に提出しました。

その文書の中で、ナチス・ドイツによるユダヤ人の抑圧と虐殺の際に、ITインフラ大手IBMが人を追跡・管理する技術提供をしていたことも引用していました。

でも、アマゾンはこの抗議の要求に応じませんでした。

また、アマゾンはアメリカの中央情報局(CIA)にもクラウドコンピューティングの技術を提供しています。

Amazon | Kindle direct Publishing, Audible | ActuaLitté | Flickr

港湾労働組合

それは国際貿易と直接かかわる港湾労働組合の成功例もあります。

武器ビジネスの記事でも出てきた、南アフリカの例をここでも紹介したいと思います。

2008年、アフリカのジンバブエで長年政権を握っていたムガベ大統領は、軍を使って、野党の政治家や支援者たちを暴力で抑えつけていました。軍は中国に武器を発注して、南アフリカの港まで海路で運んで、そのあとトラックでジンバブエに届く予定でした。

しかし、南アフリカの弁護士や人権団体が、その武器で人権が侵害されるに違いないと、強く反発したんです。武器が南アフリカ・ダーバンの港に到着した時には、港湾労働組合がその運動に加わり、船からコンテナを下ろす作業を拒みました

南アフリカで下ろすことを諦めた船は、隣の国のモザンビークやアンゴラで下ろすことを試みましたが、同じように港湾労働組合の力で阻止されたんです。

南アフリカ・ダーバン港(写真:Media Club/Wikimedia Commons [ CC BY-SA 2.0])

パレスチナ問題に対しても、イスラエル政府の行動への反発の一環として、世界各地の港湾労働組合がイスラエルの船舶の入港拒否をするケースがあります。

たとえば、イスラエルが2007年以降、ガザ地区に対して陸海空で閉鎖を強行していますが、2010年に人道支援物資などを積んだ船が閉鎖状態を破ろうとした時、イスラエル軍が阻止するために船に乗り込み、それに抵抗した活動家を9人も殺害しました。

これに対して、スウェーデン、インド、トルコ、アメリカ、南アフリカの複数の港で、港湾労働組合が動き出し、イスラエルの船に対して入港を阻止しました。

リークをする社員

社内の秘密文書、データ、映像等をメディアに提供する内部告発者もいます。

たとえば、アメリカ政府と協力関係にあったランド研究所(RAND Corporation)で勤務していたダニエル・エルズバーグが、ベトナム戦争に関する政府の内部報告書をコピーし、1971年にニューヨーク・タイムズ紙やワシントン・ポスト紙にリークしました。

これはいわゆる「ペンタゴン・ペーパーズ」で、戦争に関してアメリカ政府が国民に隠していた当時の政権に不都合な事実がたくさん含まれていました。

コピー機で印刷して持ち出すのではなく、インターネットでデータとして簡単に持ち出せる時代となり、このような事例はますます増えてきました。

アメリカ国家安全保障局 (NSA)の下請けコンサル会社で勤務していたエドワード・スノーデンの行動が有名です。

2013年にアメリカやイギリスの政府などが莫大な量の個人情報収集を違法に行っていたことを暴露し、現在もロシアに亡命したままです。

「Yes we can」ではなく「Yes we scan」 アメリカ政府による個人情報収集に対するベルリンでのデモ(写真:Mike Herbst/Flickr [ CC BY-SA 2.0])

また、政府関連以外でも、個人が自社の行動についてリークをする事例もたくさんあります。

内部告発者によって、タックスヘイブン問題の規模や仕組みなどが暴露されたパナマ文書やパラダイス文書などが有名ですが、そこまで有名にならなかったケースもあります。

たとえば、2006年のイギリス・オランダの多国籍大手商社トラフィグラ(Trafigura)による有害廃棄物の不法投棄事件があります。

オランダで処理を断られた500トンもの廃棄物を、コートジボワールに運び、下請け会社がアビジャン市内にばら撒いたところ、30人が死亡し、10万人が治療を求める事態となりました。

この事件に関するトラフィグラの内部報告書は存在していましたが、同社が隠蔽しようとしたところ、内部告発者によってリークされ、やがてイギリスのガーディアン紙によって暴露されました。

人間以外の被害についても暴露されることがあります。

2018年に、オーストラリアから中東に運送される肉食用の羊の過酷な船舶内の様子を、乗組員が職を失う覚悟で撮影し、テレビ局にリークしました

利益を最大化するために、船舶に過剰に詰め込んだため、熱中症で多くの羊が死亡し、船から捨てられていたんです。

このリークによって、オーストラリアなどのメディアで大きく取り上げられることになりました。

通信技術の進歩やSNSの普及によって、リークしやすくなりました。

さらに、ウィキリークス(Wikileaks)などのリーク用プラットホームだと、高い匿名性が守られます。

コートジボワール・アビジャン市内を走るゴミを積んだトラック(写真:Ouioui/Wikimedia Commons [ CC BY-SA 3.0])

コラム

フツーにしてたら一般の社員としてキャリアを積んでいく人が、自身のキャリアを危険にさらしてまで立ち上がるってすごいことですよね。

社員は自社の利益を第一に考えるべき!って言われるかもしれません。

でも、会社が社会や世界に対して害を与えている場合や、そのような現実を隠蔽しようとしている場合、さらには社内でその問題を指摘しても聞き入れてもらえない場合、社員としてどのように動けばいいんでしょう?

同じ思いを持った社員と団結して立ち上がることも効果的かもしれませんし、リークなどを通して個人でも大きな効果を生めるかもしれません。

巨大企業が多くの国のGDPを超えるほどの力を持つようになっている現在、社員も監視の目となることで、より良い世界に向かうことができると思います。

そのためにも、いっしょに世界の問題を知っていきましょう!

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