みなさんこんにちは、コクレポです。
日本ではよく芸能人が覚醒剤使用で逮捕されてますね。
でもこれって誰が生産してるか考えたことはありますか?
ことし国連薬物犯罪事務所(UNODC)は、2021年の1年間に計10億錠以上の覚醒剤が押収されたとする報告書を発表しました。
特にメコン川下流地域の「黄金の三角地帯」と呼ばれるラオス、タイ、ミャンマーで、覚醒剤の製造や密売が急激に拡大しています。
この地域で生産される覚醒剤は日本、韓国、台湾、インドネシア、マレーシア、シンガポール、フィリピン、オーストラリア、ニュージーランドを含む、アジア太平洋地域全般にも広まっています。
覚醒剤とは
そもそも覚醒剤ってなんでしょう?
覚醒剤とはアンフェタミン類の精神刺激薬(ATS)です。
アヘンやヘロインの原料となるケシ栽培で作られたものではなく、覚醒剤は化学原料を混ぜて作る合成麻薬です。
この地域、とりわけミャンマーで作られるのは主に2種類の覚醒剤です。
「クリスタル」、または「アイス」とも呼ばれている高純度のものはタイや中国に渡り、日本、韓国、オーストラリアなどに運ばれ高額で取引されます。
もう一つが地元で「ヤーバー」と呼ばれる低純度の覚醒剤の錠剤です。
単に快楽のためにヤーバーを使用する人もいれば、夜間ドライバーや長時間の工場労働者が眠気覚ましの興奮剤として用いることもあります。
ヤーバーは製造過剰による供給の増加で、2018年にミャンマーでの価格が一錠300 キャット(約21円)になり、数年前の価格の5分の1に下落しました。
黄金の三角地帯の現状
黄金の三角地帯の現状を見てみましょう。
ミャンマーでは、カチン州を拠点やシャン州を拠点とする反政府勢力が、自治権の拡充を目指して、中央政府の国軍と長年戦っています。
反政府勢力も国軍も、覚醒剤生産から得た利益を戦費として使っているんです。
タイとラオスは、ミャンマーのシャン州とカチン州で生産された覚醒剤の麻薬密輸の主な密輸ルートであると言われています。
ミャンマーで作られる麻薬がアヘンとヘロインから覚醒剤などの合成麻薬に大きく変化した理由は何でしょう?
まず、覚醒剤の生産コストはアヘンやヘロインを生産するよりも低く、人員もケシ栽培ほど多く要らないため、収益が大きいことを大きな原因として挙げられます。
さらに、覚醒剤の製造工場が隠されやすいことも大きな理由です。
生産場所を突き止められやすいケシに比べ、工場で生産される覚醒剤は、人の目にも付きにくく、法の網をかいくぐりやすいです。
また、覚醒剤の需要が高まっていることも理由の一つです。
海外に、組織犯罪集団が大量の覚醒剤を持ち込み、低価格で覚醒剤を売ることによって、覚醒剤の「新規ユーザー」が生み出され、ユーザーが精神依存性の強い覚醒剤に依存することで新たな覚醒剤が必要とされます。
高まった需要に対して、生産者がヘロインとアヘンの生産を減少し、覚醒剤の生産を増やすようになりました。
覚醒剤はどうやって日本に運ばれている?
覚醒剤は黄金の三角地帯からどのように諸国に拡散されているんでしょう?
下記の図でわかるように、覚醒剤蔓延の規模はかなり大きいです。
まず、覚醒剤はミャンマーのシャン州とカチン州内で製造され、トラックなどで運ばれてラオス、タイ北部チェンライを経由し、タイ中部のアユタヤ県に密輸されることが多いです。
その後、タイから隣国マレーシアを経由して、オーストラリア、シンガポール、日本、韓国などに運搬されます。
対策
日々深刻になっていく覚醒剤問題に対して、各国や国連はどのような対策を打っているんでしょう?
覚醒剤の生産過程に用いられている前駆化学物質は、製薬や化粧品、プラスチックなどの製品にも用いられる合法の化学物質であるため、原料の段階での取り締まりは難しいです。
前駆化学物質は、ベトナムやタイ、中国など、大きな産業構造を持つ国々からも流入してきています。
5つもの隣国を抱え、地理的にも他国との接触を避けられないミャンマーにとって、各国との連携は取り締まりに必要不可欠で、生産過程の一つ一つを丁寧に追っていくことが、法の抜け穴を小さくするための鍵となります。
コラム
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