バンクシー考察1:ナパーム弾の少女・花束を投げる男・・絵の背景・メッセージとは?

みなさんこんにちは、コクレポです。

バンクシーって最近日本でもとっても人気ですよね。

私も先月「バンクシー展 天才か反逆者か」に行ってきました。

バンクシーって誰?

ストリートアート、グラフィティアートを世界各地で街の壁に残す正体不明の謎のアーティスト、それがバンクシー(Banksy)です。

ステンシル(型紙)を技法として、アートの内容は反戦など、社会や政治を批判するものが多いです。

それでは、それぞれの絵の考察を紹介したいと思います。

「ナパーム弾の少女」

満面の笑みのミッキーマウスとロナルド・マクドナルドと手をつないで歩くのは、苦しみの叫びを発している裸の少女です。

この少女の姿はAP通信のカメラマンに撮られた実際の写真から複写されたものです。

1972年ベトナム戦争の最中、アメリカ軍の命令で南ベトナム軍の戦闘機が、ある村にナパーム弾(焼夷弾)を落としました。

泣き叫びながら逃げる子どもたちの中、付着したナパームで衣類も皮膚も焼失した9歳のキム・フックさん。

十数回の手術を受け後遺症が残ったものの、幸い回復を果たしました。

ベトナム戦争は、資本主義を共産主義の「脅威」から守るという名の下に300万人以上の命を奪いました。

その資本主義の表の顔を表す象徴として子どもが好む遊園地のアトラクションとファストフード。

でもその裏には戦争と子どもの苦しみがある。

バンクシーはそのようなメッセージを伝えたかったんでしょうか。

「退化した議会」

写真:Dunk / Flickr [CC BY-NC-SA 2.0]

英国議会の下院(庶民院)の様子。

でも、議論を繰り広げているのは政治家ではなくて、チンパンジーです。

バンクシーってこんな油絵も手がけるんですね。

幅4メートル以上の大作で、2009年に初めて公開されたときには「Question Time(質問時間)」と名付けられましたが、イギリスのEU離脱に合わせて、「Devolved Parliament」に改名。

「Devolved」は「権限移譲」の意味がありますが、「後退」の意味もあります。

議会はつつがなく進行されているようだけれど、議員はチンパンジー。

国民を代表するはずの政治家たちだが、「退化」した議会で「政治」が行われているというメッセージとして、多くの国で響くものはあるのかもしれません。

「花束を投げる男」

(写真:sameerhalai / Flickr [CC BY-NC-SA 2.0]) 

パレスチナ、ベツレヘムで描かれた、バンクシーの人気作。

覆面をした男が何かを投げようとしています。

これは暴動の様子を表わしているんでしょうか?

でもよく見ると、投げようとしているのは火炎瓶ではなく花束。

紛争の状況の中、武器ではなく「愛」を持つことこそが平和への道というメッセージでしょうか。

ハッピーヘリ

(写真:David, Bergin, Emmett and Elliott [CC BY 2.09]

バレリーナのように空を舞う戦闘ヘリ。

戦闘ヘリ、戦闘機、戦車などは迫力のある「カッコイイ」ものに見えるかもしれません。

でも、これらの戦争マシンは爆弾を落とすたび、直視できないほどの大惨事をもたらします。

報道では、このようなヘリが飛んでいる姿やミサイルを発射する姿をよく見かけます。

時には爆発も映しだされます。

でも、地上で罪のない人々が吹き飛ばされ、子どもの身体が引き裂かれる姿を見ることはありません。

戦争の実情を目の当たりにして、戦争を容認できる人はいるんでしょうか・・・

スパイ・ボックス

2013年、アメリカ国家安全保障局 (NSA) そして中央情報局 (CIA) の元局員だったエドワード・スノーデンが、アメリカやイギリス政府がしていた大規模な電話、インターネットなどの傍受の事実を暴きました。

その翌年、このスキャンダルの発端となった場所のひとつ、イギリス(チェルトナム)の政府通信本部(GCHQ)付近でバンクシーによって描かれたアートが、とある公衆電話ボックスのまわりの壁に現れました。

それは、実在する公衆電話を、あらゆる機械で傍受している怪しいスパイたちの姿。

後にこの絵はチェルトナム町議会によって保護登録され、GCHQのホームページ にまで使われることもあったんですが、怪しいことに、2016年に町議会の許可なしに剥がされています。

コラム

絵をみると、バンクシーの場合特に、どんな国際問題の背景があるんだろうって気になりますよね。

次回も5個ずつ紹介したいと思います。

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