プラスチック問題:リサイクルしても意味ないのはなぜ?

みなさんこんにちは、コクレポです。

スーパーのレジ袋は有料になったけど、そもそもプラスチックってなにが問題なのかよくわからない人もいるんじゃないでしょうか?

2050年の海は、魚よりもプラごみのほうが多くなると言われてて、私たちの日頃の食べ物や飲み物にはすでにプラスチックが入ってて、人体影響も未知数なんです。

今回は私たちの生活に大きく関わっているプラスチック問題について解説したいと思います。

海に浮かぶポリ袋(写真:Ben Mierement/ NOAA NOS(ret.))

プラスチックのごみ問題

分解できない化学構造

そもそもプラスチック問題が発生する原因として、その化学構造があります。

プラスチックは化学的に非常に安定した構造のため、一度作られたら最後、腐ることはなく、分解することがとてもむずかしいです。

腐りもせず、かと言って人為的な分解処理が十分でないのに、過剰包装や使い捨てのプラスチック製品があまりにも多く市場に出回ってしまっているのが現状です。

お肉も魚も野菜もシャンプーでも洗剤でもなんでも、買い物ちょっとしようとしても全部プラスチック容器に入ってますよね。

プラスチックに苦しむ海洋生物

海に流れ出たプラスチックも問題を引き起こしています。

世界では年間約800万トンものプラスチック(東京スカイツリーおよそ222基分)が、ごみとして海に流れ込んでいます。

海に流れ出たプラスチックを海鳥や魚などの海洋生物が誤って飲み込んで窒息死しているんです。

海のプラスチックごみは少なくとも世界の267種の生物に影響を与えています。

最近では、マッコウクジラの胃の中からポリ袋25枚やカップ115個、ペットボトル4本、サンダル2個、ロープなど計5.9キログラムのプラごみが見つかりました。

ウミガメがストローが鼻に刺さってすごく苦しそうなショックな動画もあります。

Sea Turtle with Straw up its Nostril – "NO" TO PLASTIC STRAWS

マイクロプラスチック問題

また近年特に問題視されているのはマイクロプラスチックの問題です。

マイクロプラスチックとは5mm以下のプラスチックの破片のことです。

川や風によって海に流れ出てきたプラスチックのうち、海辺に打ちあげられることがなかったり、生き物に食べられたもの以外は最終的に波や紫外線によって細かく砕かれます。

でも、自然には分解されないためプラスチックの組織はそのまま残ってしまいます。

プラスチックは海中に溶け込んでいるポリ塩化ビフェニルなど有害物質を吸収する性質があります。

マイクロプラスチックはプランクトンにも取り込まれて、プランクトンを食べる魚やほかの生物に摂取されてしまいます。

プランクトンは食物連鎖の根幹をなすため、生物濃縮の結果、今後、人間の健康にも被害の出る恐れがあるんです。

日本人も含む世界の一般市民の便から、すでにマイクロプラスチックが見つかっています。

マイクロプラスチックは海水に含まれているだけでなく、ペットボトルのミネラルウォーターや水道からも発見されているんです。

1週間に1人平均5gのプラスチックを体にとり入れている、という報告もあります。

海の環境を汚染するプラスチックごみ(写真:MonicaVolpin/Pixabay [CC0])

輸出されるプラスチック

先進国で発生した多くのプラスチックごみは、リサイクルのために発展途上国に輸出されます。

先進国でリサイクルとして集められたプラスチックのほとんどは、汚染物質や排水に関する環境規定の低い国に送られ、技術の低い家族経営の施設などで再処理されているんです。

中国が輸入を2017年末に禁止してから、東南アジアに大量のプラごみが輸出されて、不法に焼却されたり、海に流されたりしています。

最近では東南アジアも輸入を禁止し始める国が増えていて、先進国出したプラごみが送り返されています。

回収された大量のプラごみ(写真:Walter Parenteau/Flickr [CC BY-NC-ND 2.0])

プラスチック問題への対策

インドの成功例

インドの政策は効果的なものがあります。

2017年の夏、州政府のもとスティトワ・サガラム(海をきれいにする)というキャンペーンが開始されました。

これは、網に引っかかったプラスチックごみをそのまま海に戻していた漁師がプラスチックを回収して海岸に戻すように訓練するというものです。

こうして集められたプラスチックは、インドの道路の原材料としてアスファルトに混ぜて再利用されます。

34,000km以上がこのプラスチック道路でできていて、道路1㎞ごとに100万枚のポリ袋が使われています。

この道路はインドの猛暑に耐えれる性質があるうえ、コストも従来の道路より8%低くなるため人気が高まっています。

回収プラスチックを使った道路 

技術の開発

廃プラスチック問題を解決するために技術的な開発を行っているところもあります。

2014年に北京航空航天大学は、プラスチックを食べる蛾の幼虫の消化器官から発見されたバクテリアはポリエチレンを劣化させることを発見しました。

また、カナダのブリティッシュコロンビア大学の学生は、普通の細菌の80倍の速さでプラスチックを水と二酸化炭素に分解するバイオセレクションという方法を開発しました。

さらにプラごみを化石燃料の原材料として精製する方法を模索している研究機関もあります。

コラム:日本のプラスチックリサイクルの罠

私たちが便利な生活を送るために大量のプラスチックを使っていることが、海の生き物だけでなく、私たち自身の体内に入り込んでしまってるんです。

私はリサイクルに出してるし!と思ってても、日本ではほとんどが途上国に輸出されているか、ゴミと混ぜて燃やされているかで、再利用されているものってごくわずかなんです。

燃やすってリサイクルじゃないじゃん、というのはまさにその通りで、国際基準ではリサイクルと認められていないんですが、日本は燃やしやすくする材料として利用していること=リサイクル(サーマルリサイクル)って呼んでる状況です。

サーマルリサイクルのの

技術開発はどんどん進んでいますが、まだ、プラスチックほど柔らかくて安い素材は開発できていなくて、普及までには時間がかかります。

それまで、私たちはできるだけプラスチックの消費量を減らさないといけないんじゃないでしょうか?

できるだけマイボトルを持ち歩くとか、ストローを使わないとか、リサイクルしたらいいっていう発想から抜け出して、できるだけ消費しないっていう考えにシフトしてほしいな、と思います。

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