みなさんこんにちは、コクレポです。
みなさんのスマホの原料って何か、知ってますか?
スマホ、PC、電気自動車に欠かせない原料がレアメタル(希少な金属)です。
このレアメタルを世界でたくさん生産しているのがコンゴ民主共和国です。
私たちの豊かな生活とは切っても切り離せない国ですが、この国で起こる紛争は朝鮮戦争以来、世界最多(540万人以上)の死者数を出したことを知っていますか?
2018年、紛争下で性的暴力にあった女性たちを診察し続けてきた医師のデニス・ムクウェゲさんがノーベル平和賞を受賞したことで聞いたことある人がいるかもしれません。
今回は現在も複数の紛争が続いているコンゴ民主共和国について解説したいと思います。
コンゴ民主共和国が歩んできた厳しい道のり
現在のコンゴ民主共和国は、1885年のアフリカ分割に関するベルリン会議においてベルギーの領有が認められ、コンゴ自由国と呼ばれるようになりました。
でも、その実態はベルギー国王レオポルド2世の私有地で、そのもとでゴム、象牙、土地などをめぐって現地人への過酷な収奪が行われたため、国際的な非難を受け、1908年にはベルギー政府直轄のベルギー領コンゴへと形を変えました。
その後、他のアフリカ諸国と同じように独立運動が始まり、1960年にコンゴ共和国として独立を達成しました。
しかし、南部カタンガ州の分離運動からコンゴ動乱に突入し、5年にわたる紛争が続きました。
この紛争は、独立を認めたはずのベルギーが、南部の豊かな鉱山地帯であるカタンガ州を分離独立させて影響力を残そうとして兵力を残し、分離独立に肩入れをしました。
ベルギーとアメリカの後押しを受けた軍部のモブツがクーデターにより当時の首相ルムンバを逮捕し、後にルムンバが殺害されたことで動乱が拡大しました。
1965年にモブツが大統領となり軍政を敷き、一応動乱は収拾されたものの、モブツは国名をザイールに変更したのち、アメリカの支援で独裁体制を強め、国の資源・財源を私物化したため経済成長が止まり、貧困が続きました。
モブツの長期政権の中で腐敗が進行しただけでなく、人権抑圧も続き、国家としての機能が退廃しました。
1994年の隣国ルワンダのジェノサイドから発生した多くの難民や武装勢力が東ザイールに滞在するようになり、それがきっかけで、ルワンダ、ウガンダなど数カ国による侵攻で1997年にモブツ政権が倒されました。
そしてローラン・カビラが大統領となりコンゴ民主共和国という国名に改名されました。
しかしこの政権への不満を募らせたルワンダは、反政府勢力を組織し、国内の豊富な天然資源に対する利権も絡み、ウガンダ、ブルンジとともにコンゴ民主共和国に侵攻しました。
これが2回目の侵攻で、今回は政府側にアンゴラ、ジンバブエなどが応援に入り、合計8カ国による紛争となりました。
これが「アフリカの第一次世界大戦」とも呼ばれるものです。
カビラが暗殺され息子ジョゼフ・カビラが大統領に就任した後、2003年の和平合意が結ばれ、外国兵の撤退は実現しましたが、形を変えた武力紛争が部分的に続きました。
このように続くコンゴ民主共和国の紛争は、1998年から2007年の間に540万人以上もの犠牲者を出していて、1950年代の朝鮮戦争以来世界最大です。
同時進行する複数の紛争
現在、具体的にどんな紛争が起こっているんでしょうか?
特に南部や東部での紛争が激しく、132もの武装集団が存在します。
特に、南北キブ州は暴力と人道危機の中心となっています。
これらの州は、隣国とも絡む複雑な歴史的背景もあって、反政府的な感情と行動の温床となっています。
ウガンダからのイスラム過激派集団ADF
2017年12月には、PKO部隊が武装勢力に襲撃され、15人の死者を出す事件も起こっています。
PKO部隊を襲撃したのは、ADFと呼ばれるウガンダから移ってきたイスラム過激派集団です。
統治が行き届いていないコンゴ民主共和国では、隣国の武装勢力が国境を超えて活動することが多いんです。
彼らはもともとウガンダの反政府勢力で、現在はこの北キブ州で、武器密輸、森林伐採、略奪した土地の売買などの不法行為を行っています。
PKO部隊や市民への攻撃もこれが初めてではなく、北キブ州を悩ませています。
自警団マイマイ
また、CNPSCと呼ばれるグループも反政府勢力として勢いを増し、多くの人権侵害を犯しています。
彼らは、政府の統治能力の弱まった地域に入って、各地で出没する自警団「マイマイ」の1つです。
ルワンダ、ウガンダ、ブルンジの2回目の侵攻の際に、これらの軍と戦ったナショナリスト集団がもとになっているとされます。
マイマイ組織にもいろいろあって、地域のアイデンティティを守るという名目で、移民への強奪や不法な課税をして資源を支配するグループや、政治やビジネスが目的のグループ、他の勢力から土地を守るのが目的のグループなど、実態はさまざまです。
LRA(神の抵抗軍)・その他
マイマイ以外にも、隣国ウガンダから生まれた反政府勢力LRA(神の抵抗軍)がコンゴ民主共和国も含む中央アフリカ地域諸国で、虐殺、拉致、少年兵の結成などの非人道的行為を行っています。
その他にも、イトゥリ州(ヘマ・レンドゥ)やタンガニーカ州(トゥワ・ルバ)には民族間の対立から生まれている紛争も発生しています。
また、ルワンダのジェノサイドから生まれた武装勢力のFDLRや、ブルンジからの武装勢力もいまだにコンゴ民主共和国で活動を続けています。
また、南部のカサイ州でも近年紛争が起こっています。
性的テロリズム
戦時下での性的暴力は「性的テロリズム」とも呼ばれ、安価で有効な手段としてコンゴ民主共和国では兵士などによるレイプが横行しています。
紛争下でのレイプには、性器を銃で撃つなどして傷つけるといった残忍な行為も含まれています。
被害者のみならずそれを目撃した人々すべてに恐怖心とトラウマを植え付け、その地域から逃げ出させることなどを通してコミュニティを破壊する目的で行われているんです。
このように、コンゴ民主共和国の政情不安定の要因は、複雑な歴史的な事情や隣国との関係も絡んでいます。
鉱物資源の問題
各地で紛争が起こっているコンゴ民主共和国。しかし問題はそれだけではありません。
世界の様々な産業を支える存在でもある鉱物資源にも恵まれていて、コバルト、ダイヤモンド、金、銅のほかに、電化製品に欠かせないタンタル、スズ、タングステンなどを産出しています。
なかでもコバルトと工業用ダイヤモンドの産出量は世界第1位、タンタルは第2位です。
リチウムイオン電池に使用されるコバルトは世界生産量の6割近くを占めます。
パソコン、携帯電話の電池以外に、電気自動車・ハイブリッド自動車の急増で、その需要がますます増えています。
しかし、タックスヘイブンの記事でも書いたように、鉱物資源の富の大半は政府関係者や外資系企業によって持って行かれてしまいます。
国を豊かにするはずのものが外資系企業などによって搾取され、政府関係者、武装勢力によって私物化され、鉱物資源をめぐる対立が紛争の一因となることもあるんです。
また、鉱物資源が武装勢力の資金として使われているケースもあります。
鉱山での労働条件は酷く、危険で、報酬が少なく、児童労働問題も存在します。
飢餓、環境問題
また、カサイ州などでの飢餓も大きな問題となっています。
紛争によって農地や畑が破壊されていることが原因です。
コンゴ民主共和国の人口の約1割が飢餓の瀬戸際にあり、被害にあっている人口にするとシリアの10倍です。
武器ビジネスの記事でも書いたように、紛争は爆弾だけではなく、このような食料不足などの、副次的な被害が発生します。
さらに、この国は「地球の二つの肺」と呼ばれる熱帯雨林のうちのひとつがあります(もう一つはアマゾン川流域の熱帯雨林)。
この森林では伐採が続いていて、世界の環境問題とも大きくつながっているんです。
コラム
私はルワンダにいた時、コンゴ民出身の男の子に会って「両親、兄弟姉妹全員殺された。地元が平和だったことは一度もない。」と聞いて、なんでこんな理不尽なことが起こるんだろう、と思いました。
私たちが毎日使ってるスマホ、PC、車、すべてにコンゴ民主共和国の鉱物は必要不可欠です。
その国がこんなに問題だらけなことにびっくりしたかもしれません。
こんなにつながりも深くて、かつ朝鮮戦争以来最多の死者数なのに、なんでこんなに報道されてこなかったんでしょうか?
コンゴ民主共和国の問題が他の問題と比べてどれくらい報道されていないのか検証した記事も、今度書こうと思います。
明るい可能性を1つ最後に言っておくと、武装勢力を使って市民デモを弾圧をするなど、カビラ政権は紛争の原因のひとつとも言える政治を20年近くも続けていました。
でもこの政権がついに終わり、2019年に初めて、まあまあ民主的といえるプロセスによって、新しい政権が誕生しました。
紛争は各地でまだ続き、問題は山積みですが、これからも注意してみていきましょう。