前の記事ではSDGsってそもそもなんなのかについて解説しましたね。
では、目標8-10を今回はみてみましょう。(目標4-7まではこちら。)
目標8 働きがいも経済成長も
すべての人々にとって、持続的でだれも排除しない持続可能な経済成長、完全かつ生産的な雇用、働きがいのある人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)を促進する
「働きがいのある人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)」ってなんでしょう?
簡単にいうと、人間としての尊厳を保てる仕事のことです。
前に、東南アジアの海上奴隷の記事や、カカオ農家の児童労働の記事、ファッション業界の強制労働の記事を書いてるので読んでみてください。
働いていても、強制労働や奴隷制、人身取引など、「働きがいのある人間らしい仕事」とはかけ離れた状況の人たちがたくさんいます。
また、そもそも失業者の数も、現在2億人を超えています。
目標9 産業と技術革新の基盤をつくろう
レジリエントなインフラを構築し、だれもが参画できる持続可能な産業化を促進し、イノベーションを推進する
レジリエントっていう言葉、あんまり聞いたことないですよね。
でもSDGsの他の項目でも使われてる言葉なので、ぜひこの機会に知ってください。
レジリエントは、いち早く元の状態に回復できる力のことです。
自然災害や紛争で破壊されてしまっても、すぐ元に戻せる復興力を高めよう、ということですね。
輸送道路などのインフラはもちろん、インターネットなど情報インフラの重要性も、今まで以上に増しています。
今でも40億人がインターネットを利用できませんが、その90%は開発途上地域に暮らしています。
情報と知識への平等なアクセスを確保して、技術革新を促進するためには、このデジタル格差の解消が欠かせません。
目標10 人や国の不平等をなくそう
国内および各国間の不平等を減らす
世界のお金持ちトップ8人が、世界の貧しい半分の36億人にあたる資産を所有しています。
世界では、10人に1人が1日2ドル以下で生活し、ごく一部が莫大な富を持っています。
格差の拡大をおさえるためには、貧困層への援助や投資だけをがんばっても意味がありません。
前回のタックスヘイブンの記事で詳しく解説してるので、ぜひ読んでください。
いかに、先進国が途上国を搾取する構造が成り立ってるかわかると思います。
たとえば皆さんがお金を貯めたいとき、お母さんが毎月1万円ご褒美だよ!と渡してくれても、お母さんがこっそり皆さんの口座から毎月100万円引き出してたら、バイトをいくら頑張ってお母さんからご褒美を貰っていても、増えるどころか大損ですよね。
つまり、「流れていってしまうお金」があるなら、そこを止めないとお金は増えません。
この例みたいなことがまさにグローバルに行われているので、途上国と先進国の格差はどんどん開いていってるんです。
この問題を厳しく取り締まろうと途上国が声をあげても、アメリカや日本を含む先進国が拒否している状況です。
ターゲット10.05や10.06の強化が必要です。
コラム
目標10については、格差は拡大し続けていて、達成から遠ざかっています。
先進国企業がタックスヘイブンを使って、途上国に本来支払われるべきはずのお金が支払われていなかたり、不公平な貿易のせいで、途上国は表では援助を受けながら裏では搾取されています。
途上国はこの問題を取り締まるため、「税金問題における国際協力に関する専門家委員会」を正式に国際機関へ格上げすることを強く求めています。
しかしこれに対して、アメリカ、日本、イギリスなどが強く反対し、実現できていないんです。
支援に目を向けるだけではなくて、お金のズルを世界中で厳しく取り締まる、この姿勢が私たちに求められています。
次回は目標11-13まで解説します。