人類が直面しているコロナ以外の保健医療危機(1)

みなさんこんにちは、コクレポです。

世界では、まだコロナ感染者数は多いですね。

メディアでも海外のコロナ状況についてたっくさん取り上げれられてきました。

でも、世界にはコロナと同レベル、か、それ以上の他の危機的状況もあるのに、ちょっとコロナばっかりすぎないかな?と思います。

今回は人類が直面しているコロナ以外の保健医療危機を解説したいと思います。

既存の保健医療危機

コロナの死者は、2021年12月の時点で535万人と大きく注目されてます。

でも、世界には、コロナ以外にも普段から多くの命を奪っている危険な病気があるんです。

汚染のよる病気

世界の人々の主な死因って実は汚染由来の病気ってこと知ってましたか?

世界中で年間約900万人が汚染に関連して死亡しています。

そのうち大気汚染が原因となる呼吸器疾患などで死亡する人が約650万人、水質汚染が原因となる下痢系疾患などで死亡する人が約180万人、残りの100万人近くが職場での汚染で死亡しています。

コロナ以外の感染症

コロナウイルス以外の感染症についてはどうでしょう?

結核によって死亡している人数は年間約150万人、HIV/エイズに関連する病気で死亡している人数は、約69万人です。

季節性インフルエンザに関連する呼吸器疾患で死亡する人数は、毎年最大65万人です。

また、年間約44万人がマラリアで死亡しています。

これらの病気は、治療法・予防法が存在しているのに、たくさんの人が現在進行形で亡くなってしまっています。

マラリアの検査を行う様子(写真:CDC Global/Flickr[CC BY 2.0])

今後やってくる保健医療危機

気候変動による保健医療危機

現在、気候変動による保健医療の危機がどんどん深刻化しています。

農業や建設業といった屋外で働く人のなかで、熱疲労や熱射病腎臓病といった健康被害が世界各地で増加しています。

また、地球温暖化がこのまま進めば、作物にとれなくなり、世界的な飢饉がやってくる恐れがあると指摘されています。

また、気候変動によって増加するといわれている洪水は感染症の流行を引き起こすとして問題視されています。

洪水の様子(写真:PranongCreative/Needpix.com[public domain])

将来的にさらに深刻になると考えられるもうひとつの保健医療危機として、薬剤耐性の問題があります。

薬剤耐性による保健医療危機

薬剤耐性っていうのは、細菌やウイルスが、薬の耐性をもってしまって、薬が効かなくなったり、効きにくくなることです。

インフルの薬とかもらう時も、症状良くなっても薬全部飲み切ってくださいね、って念押しされますよね。あれは途中でやめちゃうとウイルスが薬の耐性をもってしまって、今度は薬を飲んでも治せなくなってしまうからです。

おどろくことに、薬剤耐性によって死亡する人は、毎年約70万人もいるんです。

さらに、薬剤耐性による死亡は、2050年までに世界中で年間1,000万人に達すると予測されています。

抗生物質(写真:oliver.dodd/Flickr)[CC BY 2.0]

なんで薬剤耐性の問題は深刻化しているんでしょう?

人間は抗生物質を服用しすぎているといわれています。

さらに現在、コロナの治療・予防の一環としてとても高い割合で抗生物質・抗菌薬が使用されていて、薬剤耐性を強くしてしまっています。

家畜も生産性をあげるために、抗生物質が過剰に投与されています。

また、抗生物質・抗菌薬の開発は収益が低いので、製薬会社が開発をしたがらないんです。

感染症の原因って?

自然破壊・森林伐採

感染症の発生・拡大の要因の1つは、自然破壊・森林伐採といわれています。

ん?どう関係してるの?と思うかもしれませんね。

たとえば森林伐採によって、野生動物を自然の生息地から追い出すと、人間の集団に近づくので、ウイルスをもつ野生動物との接触が増えます。

すると、人畜共通感染症(動物から人間に感染するコロナのような感染症)が人間に感染する可能性が高まるんです。

たとえば、森林破壊が10%増加するとマラリアの症例が3.3%(約740万人)増えることが明らかになりました。

また、自然破壊された場所と自然破壊がされていない場所とで比べると、人畜共通感染症にかかる動物の数は最大2.5倍になります。

さらに、自然破壊された生態系とそうでない生態系を比較すると、感染症の病原体を運ぶ種の割合は、最大70%増えたことがわかったんです。

森林伐採の様子(写真:TFoxFoto/Shutterstock)

それだけでなく、多くの薬やワクチンの原材料は自然に由来するものなので、自然破壊を行うほど生物多様性が失われ、結果として薬やワクチンの開発・制作がむずかしくなります。

ですが、年間平均2,800万ヘクタールの森林が伐採されていて、減少の兆しはありません。

また、感染症の発生・拡大には、畜産業も関わっています。

畜産業

既存の感染症の約60%と新興感染症の約75%が人畜共通感染症で、およそ200万人が人畜共通感染症で毎年亡くなっています。

お肉の裏側の記事でも書いていますが、畜産業は、動物が1か所にまとめて管理されていて、抗生物質・抗菌薬を過剰に投与され薬剤耐性が強化されていることなどから、人畜共通感染症の発生・拡大のリスクが大きいと指摘されています。

それだけでなく、特に牛の牧畜のための放牧やエサの確保のために、さらなる森林伐採が進められていて、森林伐採による感染症の発生・拡大にもつながっています。

畜産業のブタ(写真:PxHere[public domain])

自然破壊・森林伐採や畜産業以外に新興感染症のリスクを高める問題として、地球温暖化があげられます。

地球温暖化

人間や動物に感染する可能性のあるウイルスは、永久凍土層に保存されている可能性があると指摘されています。

永久凍土は冷たく、かつ酸素がなく暗いため、微生物やウイルスが長期間保護されるのに適しているといいます。

地球温暖化によって、永久凍土の土壌が溶けて、古代のウイルスやバクテリアが放出されて人間に感染する恐れがあります。

たとえば、2016年、北極圏のヤマル半島で溶解した永久凍土から放出された菌に感染して1人が死亡し、少なくとも20人が入院しました。 

また、北極海の氷が溶け、シベリアの北岸へのアクセスがより簡単になった結果、金や鉱物の採掘、石油や天然ガスの掘削などの産業開発が収益性のあるものとなってきています。

現時点では、この地域は無人で、永久凍土層はそのまますが、採掘作業によって露出する可能性があります。

そこに病原体の微生物やウイルスが存在していれば、感染症の発生・拡大のリスクがあると言われているんです。

コラム

みなさん、世界の保健医療の危機的な状況がわかりましたか?

コロナだけじゃないんです。薬剤耐性の話が個人的にけっこう怖いな、と思ってます。

薬が効かなくなっていて、開発もされないって結構危機的じゃないでしょうか?

今回紹介した根本的な原因や、長期的にこれから発生するかもしれない感染症について、ちゃんと報道していれば、世界全体で対策を早めに打てると思うんです。今回のコロナもこんなに大きい被害にならずに済んだかもしれません。

いまの報道の仕方では、これから先もやってくるコロナみたいなパンデミックやその他の危機を、防いだり、備えたりすることができないですよね。

次の記事では、今回紹介した事例や原因について、日本のメディアはどれくらい報道できていたのか、データを比べてみたいと思います。

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