現在の人身売買状況:奴隷オークション開催?

【現在の人身売買状況】リビア「奴隷オークション」の様子ヤバい・・深刻化する人身売買

みなさんこんにちは、コクレポです。

2017年10月、1人の人間が400円くらいで売買されるこの映像、見たことありますか?

リビアでは、「奴隷オークション」が行われています。

いくらで人を取引するか話し合う様子は、モノを扱ってるみたいです。

脅したり騙したりして拘束した人間を、お金をもらって輸送して、引き渡し、受け取って、搾取することを人身売買っていいます。

世界では現在でも、約4,030万人 もの人々が「現代の奴隷」として売り買いされているんです。

そしてこういう人間の取引は、40%は国境を越えてグローバルに売買されています。

今回は現在の人身売買の状況について、解説したいと思います。

性的に搾取される女性(イメージ写真)(写真:ACF HHS/Flickr [CC BY-NC 2.0])

人身売買の種類って?

売買の方法や搾取の方法は、性的搾取、強制労働、臓器売買、こども兵士としての利用、家庭内労働、犯罪強要などいろんなタイプがあります。

搾取のいろんな種類 UNODC2020レポート引用

その中で、性的搾取は人身売買の50%、強制労働は38%を占めています。

性的搾取には、売春の強制や強制結婚、ポルノの強要などがあります。

性的搾取は低所得国だけではなく、西ヨーロッパ、日本、オーストラリアなどの先進国でも問題になっています。

また、移民や難民を搾取するケースもとても大きな問題になっています。

地域ごとのメインの搾取方法。赤が性的搾取、青が強制労働、茶がその他の搾取 UNODOC2020レポートより引用

はじめに紹介したリビアの奴隷オークションなどは強制労働に当たります。

強制労働させられている多くの人は、劣悪な環境下で、極度の低賃金か、無報酬で、脅迫や暴力におびえながら過酷な労働を強いられます。

また、貧困国では子供を労働力として扱うことも多いです。

先進国でも、移民や不法移民を労働力として搾取するケースが多発しています。

赤が18歳以上、茶色が18歳未満の被害者。貧困国ほど茶色の割合が高い。

人身売買が深刻な地域って?

こうした人身売買は、どんな地域で深刻化しているんでしょう?

GNVは、人身売買の長期的な傾向を把握するために、アメリカ国務省が各国の人身売買の深刻さを段階に分けて表したデータの平均値をとって、国ごとの傾向を分析しました。

アメリカ国務省内の人身売買を担当する部署が定めている、最低基準を完全に満たす国は段階1。

最低基準を完全に満たしてはいないけど、基準の順守のために努力を重ねている国は段階2。

「人身売買の実態が非常に深刻で、かつ被害数が増えている」、「前年に基準順守に努めていることを実際に証明することができていない」、または「基準順守を予定しているだけで、まだ実行に移していない」国は、特別な監視が必要な段階2(監視リスト)。

最低基準を満たしていない上に改善努力も行っていない最も深刻な国は段階3、に分類されています。

187か国中、段階1に分類されたのは24%(46か国)、段階2は55.6%(104か国)、段階2(監視リスト)は16.6%(31か国です)。

そして、段階3に分類されている、8年間連続で「最悪の現状」という評価を受けた国は全体の3.2%で、赤道ギニア、エリトリア、イラン、北朝鮮、リビア、イエメンの6か国でした。

この結果から、段階3や段階2(監視リスト)などの深刻な状況の国は、ある地域に集まっているわけではなく、世界中に散在しているということが分かります。

人身売買の原因って?

でも、地域的な傾向として1つ言えるのは、貧困に苦しむ国に被害が集中しているということです。

段階3または段階2(監視リスト)に含まれる国37か国のうち、2018年の一人当たりの名目GDPランキングが40位以上の国は、33位のクウェートと40位のサウジアラビアだけで、その他は、ランキング後位の国です。

このような結果からもわかるように、人身売買が発生する大きな要因の一つは極度の貧困です。

搾取に利用されやすい要因

貧困地域では非雇用率が高くて、職を得られずに路頭に迷う人は、人身売買業者の格好のえじきです。

生きていくために必死に職を得ようとするため、人身売買業者に騙されて強制労働させられたり、売春などの性的産業に従事させられたりしてしまう可能性も拡大します。

さらに、極度の貧困地帯においては、親が子供を売ることによって生活費を稼がないといけない状況も存在しています。

また国によっては、法の拘束力が弱まっていたり、犯人を捕らえることができなかったりして、人身売買が横行してても見逃してる場合も多いんです。

世界的にみると、人身売買の深刻化に伴って、たくさんの国が包括的な規制による対策をはじめ、ここ数年で人身売買に加担した人に有罪判決を下す件数が増えてきています。

地域ごとの平均有罪率

でも、アフリカやアジアの多くの国では、たくさんの被害者がいることが明らかなのに、有罪判決の件数は低いままです。

これは、ただ単に人身売買の加害者を野放しにしてしまうだけではなく、その国の現状の把握をむずかしくして、適切な対策をとることができない問題を引き起こしてしまいます。

人身売買の要因は、貧困や未検挙だけではありません。

武力紛争などの社会不安によって、規律を守らない人が増えたり、犯罪に対処するお金が不足したりすると、人身売買の実行者が犯罪を実行しやすくなってしまいます。

たとえば武装勢力は、レイプをして、家族を崩壊させたり、地域の住民に恐怖感を与えて、コントロール下に置き、紛争を有利に進めようとします。

つまり人身売買の実行者は、搾取によって実際に利益を得るだけではなく、人身売買の副次的な効果を戦略の1つとして利用しているんです。

イエメンの紛争から逃れた国内避難民(写真:Hugh Macleod/Flickr [CC BY-NC-ND 2.0])

コラム

みなさん、世界の人身売買の大枠について知れましたか?

人身売買って何も特別な大事件ではなくて、市民レベルで蔓延してて、貧困や紛争の問題にも絡み合ってることがわかったかなと思います。

でも、「最悪の現状」って言われている、赤道ギニア、エリトリア、イエメンとかの状況って、ほとんど日本では伝えられないですよね。

こんな深刻な状況なのに、日本のメディアは報道しなくていいんでしょうか?

次の記事では、日本の報道と人身売買の状況のギャップについて、データを比べながら説明したいと思います。

コラムでは日本の国際ニュースについて思ってることちょっと書いてるのでぜひ読んでみてください。

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