少数民族ロマ:現代に残る貧困と差別

みなさんこんにちは、コクレポです。

みなさんナチス・ドイツの大虐殺(ホロコースト)で殺されたのってユダヤ人だけと思っていませんか?

実はこのとき、何十万人もの少数民族ロマも殺害されていたんです。

そしてロマ人は、いまでも差別に苦しんでいるんです。

今回はこのロマ人の差別についてみなさんに知ってほしいと思います。

ロマの子供たち Jutta Benzenberg/World Bank[ CC BY-NC-ND 2.0]

ロマ人とは誰?

ロマ人は現在、ヨーロッパに多く住んでいますが、他にも、アジアの一部に、北アフリカに、アラブ中東諸国に、そして南北アメリカに暮らしていて、定住化しようとしています。

人数は、多くの国で正式な市民として登録されていないことも多いので、正確な数字は分かっていませんが、ヨーロッパに1,000万人~1,200万人いると推定されています。

また、ヨーロッパの中でも、ルーマニアなど東欧に多く住んでいます。

呼称に関しては、広く「ロマ」や「ロマニ」という風に呼ばれることが一般的です。

「ジプシー」という呼称は、長い歴史の中で差別的意味を込めて使われていたため、現在では原則使わないようになっています。

ロマの歴史

ロマの現状を理解するには、彼らの歴史を知る必要があります。

ロマの起源は、諸説ありますが、北インドであることが定説となっています。

ロマは、8世紀から10世紀ごろ、ヨーロッパに移動してから、多くの国で、過酷な扱いを受けることになります。

まず、多くのロマが、ルーマニア、ハンガリーで、宮廷や教会、地主などによって、奴隷として搾取されることになりました。

このような奴隷制度は、ルーマニアでは、19世紀後半まで続きました。

また、スペイン、ポルトガル、フランス、ドイツのような国でも、排除政策の対象になりました。

そして、20世紀に入ると、ナチスによる大虐殺を経験することになります。

ロマの人々も、ユダヤ人と同様に、遺伝的に劣る存在とされ、ヨーロッパにいる80万人(推定値)の生命が奪われたと言われているんです。

このようにロマは、歴史的に苦しい立場を経験してきました。

しかし、これは過去の話ではないんです。

欧州連合(EU)の設立、その後の東方拡大以降、ロマの待遇の改善が図られましたが、現在でも、ロマの貧困・差別は依然として残っています。

ロマの住居(セルビア) Mustafa Skenderi/flicker [CC BY-NC-SA 2.0]

雇用

ロマの深刻な問題として、まず雇用があります。

ロマは、歴史的に労働市場から締め出されてきたことに加えて、ソ連崩壊によって、多くの人が仕事を失いました。

また、このような失業した家庭で生まれてきた子供たちは、低い教育レベルと限られた職業スキルしかもたない親のもとで育つため、負のスパイラルが続いてしまいます。

2016年データでは、20歳から60歳の中で、EU全体の賃金労働率が70%であるのに対して、ロマの人々の賃金労働率は30%にとどまっています。

また、若い世代の雇用状況を見てみても、16歳から24歳までのロマの女性の中で、72%の人が、仕事をもっておらず、教育も受けていない状態で、男性も55%が失業しています。

教育

よりよい仕事にめぐりあうには、教育を受けていることが有利にはたらきますが、教育においても問題だらけです。

何らかの公教育の修了したことがあるロマの割合は、改善傾向にあり、16歳~24歳の割合はほとんどの国で90%を超えているものの、ギリシャでは、まだ42%の人が修了していません。

また、ロマの人々は、貧困が蔓延している地区に集団で暮らす状態になることが多いため、自然に、教育環境があまりよくない学校に通うことになります。

また、教育の現場などで、差別の意図をもって、知的障がいを抱える子どものための養護学校にロマの子どもを入れてしまう場合もあるんです。

たとえば、2014年時点で、チェコにおけるロマの人口は3%未満にも関わらず、軽度の知的障がい児のための学校・クラスで学ぶ生徒のうち、30%以上がロマの子どもたちとなっていました。

ロマの子どもたち ©Amnesty International

住居

労働・教育の他に、住居の問題も深刻です。

ロマの生活環境は非ロマと比べてずっと悪いです。

統計的には、ロマの人々が、トイレ、シャワー、浴槽のいずれかがない住居で暮らしている割合は、平均で46%にのぼっています。

特に、ルーマニアでは、82%となっています。

また、都会に住むほとんどのロマは、隔離された地域に密集して住んでいます。

この傾向は、福祉サービスや、雇用、教育の面で、他から孤立してしまう危険性を生んでいます。

生活環境の悪化は、薬物やDVなどの心の健康の悪化にもつながる問題です。

なくならない差別

ロマは、「ジプシー」や「犯罪者」という偏見に耐えて生活しています。

仕事探しや、レストランに入るときなどで差別を受けることがあります。

また、警察に不当に扱われたり、ネオナチから迫害されたりすることもあります。

統計的に見てみても、ロマに対して否定的な意見をもっている人々の割合は、82%(イタリア)、67%(ギリシャ)、64%(ハンガリー)、61%(フランス)と過半数を占める国もあるんです。

そして、人々のロマに対する差別意識が根強く残っているため、ロマの保護政策に市民の賛同を得にくく、ロマの待遇改善がなかなか進まないんです。

たとえば、2016年10月、ブルガリアでは、9%のロマの人しか、中等教育を受けられておらず、3分の1の人が完全な貧困状態でした。

そこで、ブルガリアの教育大臣が700人のロマの高校生に奨学金のプログラムを始めると述べたところ、国中で、抗議が起きたんです。

このように、歴史的に生まれたロマの貧困・差別は、現在でも残っているんです。

ロマの子どもたち Dominic Chavez/ flicker [CC BY-NC-SA 2.0]

コラム

みなさんロマの人たちの問題知っていましたか?

EUは現在、補助金を出して、住居の提供などのロマの支援をしています。

また、2019年ローマ法王がルーマニアに訪問したとき、これまでの差別を謝罪しています。

でもまだ差別の意識が強く残っているんですね。

社会全体がロマへの偏見をなくし、解決へと取り組まないといけません。

そして、そのためにどんなことが起こっているのか、世界が関心を持たないといけないな、と思います。

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